2018/08/27
データ救出ボランティアから修理案件へ
呉市安浦町の水害地域から送られてきたノートパソコンです。
お電話をいただいた時は、水没していると聞いていたので、ガッツリ泥だらけをイメージしていたのに、本体は白いボディがまばゆいばかりの、とても綺麗なノートパソコンでした。
最初、これが本当に水没しているのかと疑ってしまった程の美しさ。
考えていても仕方がないので、まずは分解してみることにしました。
データ救出が主たる目的なので、まずはハードディスクを取り出してみると、本当に水没していました。
定番の泥だらけ具合。
綺麗な部類ですが、泥が入り込んでいます。
検査してみると、Windowsシステムフォルダもデータフォルダも、全て正常にアクセスできましたので、最低限度データの救出はできることはわかりました。
ハードディスクと同じ側にBlu-rayドライブがあったので、強制Ejectしてみると、こちらも泥にまみれています。
Blu-rayドライブやDVDマルチドライブは精密部品なので、ここも廃棄するしかありません。
ここまできて、ようやく水没パソコンであると認定できました。
どうせ棄てるなら、もっと中身を見ておこうと思い、裏蓋を外しました。
ハードディスクやBlu-rayドライブがある側には、USBとSDカードリーダが一体になった基板がありました。
ここには、多めに泥が入り込んでいます。
マザーボードへ信号を送るためのケーブルの接点に、青錆が出ています。
中和しても錆が出てくるかもしれないと判断して、このボードも廃棄することにしました。
ハードディスクやBlu-rayドライブがあった側は、写真左側(本体右側)です。
こちらには、水に浸かった跡があります。
スピーカーも錆が出ていますし、ACアダプタのコネクタもあり、これらはすべて泥が付着していました。
しかし、マザーボードや電池の接点は、水に浸かった跡がなく、USB3.0ポートにも泥が入り込んでいる様子がありませんでした。
驚いてしまったので、依頼主様に再度確認したところ、水に浸かったのは本体右側1/3程度とのことでした。
確かに残り2/3には、泥の付着痕がありません。
しかも、前の写真のようにマザーボードは生きています。
これはひょっとしたら、水に浸かった部品だけ交換すればデータをパソコンごと返すことが可能なのではないかと思ったので、依頼主様にパソコンを有償修理する旨を伝えると、快諾していただけました。
早速、汚れた部分は洗浄して、交換すべき部品は全て取り外し、部品の注文をしました。
途中、初期不良の部品を交換してもらうのに時間がかかりましたが、何とか全て部品が揃い、組み上げました。
そして、動作確認を行ってみると、正常にWindows 10が起動して、ご依頼があったデータも無事であることが確認できました。
無事に起動した瞬間、本当にほっとしました。
その後、Windows Updateの実行と、システム回復ドライブ作成、その他必要な更新を実行して、依頼主様に直接届けました。
この案件は、災害ボランティアの中で初めて通常の修理案件に変更となった案件で、依頼主様にもとても喜んでいただけた案件となりました。
依頼主様によると、「他のパソコン修理屋さんでは、修理できないと言われた」そうで、お子様のデータが戻らないかもしれないと思われていた矢先に、SH CUBEのボランティア活動の事を知り、ご依頼されたそうです。
店主としては、まだ購入されて間がないことと、ここまで綺麗なパソコンを棄てるには忍びないと思ったので、修理を決意しました。
依頼主様にとても喜んでいただけたことが強く印象に残ったので、このパソコンは店主にとって忘れられないパソコンになりました。
今後、大したトラブルもなく壊れるまで使っていただければ、店主にとっては何よりです。
ご依頼ありがとうございました。